PCで音楽制作S その2
(前回のあらすじ) エフェクターのかけ方によりサウンドの雰囲気を変える作戦は成功しました。しかし、……。
EFXに「Space D」をかけたバージョンと以前のバージョンを聞き比べると、明らかに音の広がりが変わり、よい感じになっています。でも何日か聴くと耳が慣れてきました。改めて原曲と聴き比べると、まだまだ音像がはっきりしすぎているようです。
私 「J.Tさん、最新のバージョンなんですが、原曲と比べるとストリングスの広がり感が足りないような気がするんですが、どうしてなんでしょう」
J.T「プロはMIDIだけで音を作ってるわけじゃなくて、オーディオレベルの編集でエフェクターをかけたりしてますからね。機材が違うんだから、同じ音にはなりませんよ」
私 「それは確かに真理なんですけどね……」妥協するにはちょっと心に引っかかることがあったので、他の作者のデータをじっくりと聴き続けてみました。でも、同じ曲では答えが見つかりません。
そこで、同じアルバムの他の曲のMIDIデータも聴き込んでみました。すると、広がり感が異なるデータを見つけたのです。早速そのデータを解析すると、秘密は和音をLとRに分離していたことのようです。
4つの音の和音(例えばドミソド)がある場合、普通は同じ位置で4つのすべての音を出します。そこのところを、L(左)で下のドとソを、R(右)でミと上のドを鳴らすように変えます。こうすると、その和音を聴くと頭の中では和音として認識されるのですが、空間的な位置は広がって聴こえます。
もちろん、音量や定位は他のパートとのバランスを適切に調整しないとその効果は出ないので、そのあたりに注意しながら和音(ストリングス)のパートをL/Rに分離しつつ、他のパートも調整しました。
狙った効果のアレンジができたところで、あの方に評価依頼です。
私 「ストリングのアレンジ変えてみました。どうでしょう」
J.T「お、これは良くなりましたね」
私 「和音をL/R分離するテクニックを発見したので、適用したんですよ」
J.T「ああ、そのテクニックね。そういうのもあるよね」スーパーなエンジニアの人は、この技術を既に知っていたようです。さらに、N.Mさんににも聴いていただきました。
N.M「ああっ、これはいいですね」
受けは上々のようです。本日の作業……成功。(つづく)